ハナント山(平成23年12月30日)
ハナント山は地形図に記載のない三角点峰である。名前の由来については「栃木273山」の著者倉持裕至氏が別の著書「地図に無い山」の中で旧粟野町の教育委員会の人からの話として以下のように書いておられる。「古文書の記載には、万葉仮名で「「波奈能登夜」」とあり、鼻取山、花取山は最近の当て字である。地元の古老は、ハナントヤと呼ぶが、現在はハナントヤマと呼んでいる。」
ハナント山の記録はネット上では「日光稜線紀行」、「日光連山山歩き」、「高原山探訪」のみっつが見られるのみだった。すべて粕尾側に下山している。鹿沼のリーバスをうまく利用すれば長い舗装道路歩きもしなくて済むだろうが、バスは朝早くと夕方遅くしか走っていない。ハナント山の南東にある413.5M三角点峰とつないで歩くには、早起きがつらいこの時期には粟野側から登るのがよさそうだ。
ハナント山(671.9M)
小金沢地区の「遊の郷」の駐車場に停めて歩き出す。地元の人が犬の散歩をしていたので挨拶すると、三峰山に行くのかと聞かれる。ハナント山へ行くというと、「はなとり山」まで行くのかと。このあたりでははなとり山と言っているらしい。どんな字を書くのかと聞いたところ「とり」は「取る」だが「はな」は分からんとおっしゃっていた。
東に下って取りつきやすそうな場所を探すが、登りやすそうに見えたところは民家の裏。仕方なく道を曲がった所に人がいたので、この裏から登れるのかと聞いたところ、分からんとのお答え。少し先に行った「何とか会館」の脇から登ってみた。
雑木の藪で歩きやすそうな所を探して稜線に到達。稜線上もそれなりに藪っぽい。ここから三角点まで倒木やら笹やらで快適な尾根歩きとはいかない。344Pの南のピーク手前では道形が見られた。所々で枝越しに石裂山、鳴蟲山、ハナント山が見られた。413.5M三角点峰には例によってRK山名板がお出迎え。裏側を見ると「山部なな」の文字が。
ここからはいわゆる「粟野中央尾根」で藪の度合いが極端に薄くなる。10分もしないうちに北側が伐採された場所になる。遠くに女峰山、近くに鳴蟲山、羽賀場山、かまど倉、二股山が見えた。少し登り振り返ると三峰山が近い。
その先からは単調な歩き。459Pの北のピークから西に進路が変わり急降下。振り返ると屈曲部は絶壁の岩場だった。
鞍部からはハナント山東峰まで200m超の登りが続く。結構つらい。東峰から一旦下ってまた登り。横根山と思われる山容が見えた。進路が南西に向いて緩く登ると山頂らしくない三角点峰に到達。ハナント山山頂だ。三角点のほかには山名板もなし。枝に赤いビニールテープが巻かれ丁度1年前の日付が書かれていた。
枝越しに横根山や雪雲がかかった男体山がかろうじて見えた。
風があまりにも冷たいので長居できない。帰りは羽遠林道を長々と歩くのもストレスがかかるので528Pから北東に延びる尾根を下ることにあらかじめ決めていた。15分足らずで林道に下り立つ。手前には伐採地があり林道も見えた。528Pで尾根ともお別れ。どんな風になっているのかは皆目見当はつかないが何とかなるだろうと北東尾根に入った。
藪もあまり強くなく歩きやすい。石裂山なども枝越しに見える。順調に下りて行ったが、410m級ピーク手前に大岩が出現。
直登はちょっと無理かも。右側(東側)に巻き道がある。危なっかしいトラバース道を急ぎ足で注意しながら?通過。ここが今日唯一の危険地帯だった。林道に近くなると傾斜が急になる。伐採された木や笹などをうまく避けながら下りていく。
傾斜が緩やかになり、小川をまたいで上にある林道に到達。ここから駐車地まで戻る途中にハンターが大勢いた。話しかけると鹿を追っているらしい。どうも鹿が川に入ったみたい。鹿に会わないように願いながら舗装道路を戻った。それなりに交通量はあるようだった。
駐車地(15分)取りつき(1時間10分)413.5三角点(1時間50分)ハナント山(50分)林道出合(45分)駐車地
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