このところ天候が読みづらい。栃木よりも福島のほうが17日の天気は良いのではと思い込んで出かけたが、現地は雨降りで携帯電話で雨雲レーダーを確認したら、栃木には雨雲はほとんどなかった。この日は登る場所を明らかに間違えたようだ。風はすさまじく、まさしく暴風。ちょっと身の危険も感じた。
一切経山(1948.8M)
浄土平に着いたのは午前7時。駐車場には車は2台。雨が降っていて1台の車には人が待機?していた。雨雲レーダーで確認すると1時間くらいで雨はやみそうだ。、時間を何とかつぶしているうちに雨も上がり、歩く準備をしているとマイクロバスや乗用車が何台もやってきた。今日の当初の予定ではまず一切経山に登り、次に東吾妻山。そして場合によっては吾妻小富士も登るはずだったのだが・・・。
天文台の裏手に広場があり。ここが駐車場のようだ。帰りに見るとここに10台以上停まっていた。
歩き出してすぐに風が冷たいので長袖を着た。木道から入っていく。ロープで仕切られた立ち入り禁止の左右はイワカガミの絨毯のようだ。
まだこの時点では一切経山は良く見えていた。
まずロープの張られた分岐を見送り、次に右に行く分岐があった。予定ではここから一切経山に向かうことにしていたが、何を勘違いしたのか直進してしまった。だいぶ先に進んでから気づいたが後の祭りだ。
(看板の右わきから登るはずだった)
しばらくはイワカガミを見ながらの歩き。道に水が流れている場所も出てくる。マイヅルソウ、オオカメノキ、ツマトリソウなどが数は少ないながら道端に咲いていた。後ろを振り返ると吾妻小富士が良く見える。
さらに進むとムラサキヤシオが2株ほど。ミネザクラも咲いていた。
平坦になると残雪も見えてきた。鎌沼への分岐にはチングルマが至る所に見られる。チングルマは姥ヶ原周辺までいくつもの小群落を形成していた。強風のためか一部花の形が崩れているものもみられた。
ここから一切経山に向かうよりは東吾妻山に行った方が距離的なロスも少ないので、姥ヶ原へ進む。木道脇の砂地に人のものとは明らかに異なる足跡があった。真新しいものではないので大丈夫でしょう。まさか人間が裸足で歩かないですよね。
(2,3種類の足跡?)
姥ヶ原の十字路で東吾妻山方面に向かい、木道の途切れた先は浅い川状態。上流に向かう形になる。
道は川状態が続く。ふと見るとショウジョウバカマだ。
憂鬱な気持ちで進んでいくと段差の大きい所では小滝ができている。
引き返すタイミングをつかめないまま進むと残雪が出てきた。中央に足を乗せると崩れ落ちそうだ。端の所から進むが、先のほうに急傾斜の残雪も見えてきたので、あっけなく戻ることにした。
姥ヶ原を経て酸ガ平へ向かう。群生のチングルマ、小群生のミツバオウレンとイワカガミ、ほんの少しのミネザクラが見られた。鎌沼は風のためか波立っていた。
(ミツバオウレン)
酸ガ平には池塘が点在している。残念ながら周囲の山はガスに隠れている。
次の分岐を酸ガ平小屋へ向かう。ずっとあった木道もここで終了だ。小屋番の人だろうか、何か仕事をしているようだった。小屋の中に入って腹ごしらえ。風も大分強くなっているので合羽の上を着た。さて一切経山に向かって出発だ。
雪渓を越えて登っていく。
(帰りに撮影。手前が一切経山側で奥が小屋方面)
風が強い。下りてくる人たちも何人かいる。斜面から稜線に出ると風はその凄まじさを増してくる。吹き飛ばされるほどではないが、立ち入り禁止のためのロープを持ちながら登って行った。楽しみにしていた五色沼の姿も到底望めないが、ここまで来て引き返すのもなんなんで、さらに酷くなったと感じる風に叩かれながら山頂と思った石の積まれた所になんとか到着した。
てっぺんに登ってみたが山名板はない。三角点もないようだ。下りてふと見ると三角点らしきものと山名板が見えた。こっちが山頂のようだ。あらためて記念撮影。長居できない。
首に巻いていたタオルも飛ばされたが、運よく止まってくれた。下りも風は強いが、登りに比べて遥かに気が楽。登ってくる人と何人もすれ違う。きわめて軽装の人たちもいた。小屋を過ぎて木道に入ると20人以上が登ってくる。こちらはすれ違いやすい場所で待っているのに気の利かないご婦人がいた。まあ色々な人がいるからね。いちいち怒っても仕方ないでしょ。お互い様かな。雪渓をトラバースする所が1か所あった。目印があるので大丈夫。
下って行くと正面に吾妻小富士が見える。幾分ガスっているようだ。
浄土平まで下りてきた。このまま終わるのもあまりにも物足りないので、吾妻小富士に行くことにした。あそこもあの形だから風は強いだろうとは思っていた。実際は想像を絶するものだったけど。
道を渡り階段に取りつく。歩きづらいことこの上なし。稜線に出た。風は少し強い程度。左回り(時計回り)に進む。火口を見ると下りてみたい衝撃に駆られるが、ここでは自重。まわり切ってから下りてみようとこの時は思っていた。
登っていくにつれ風が強くなってきた。岩の目立つところを越えていったところであまりの風の強さに立ち往生してしまう。少し下に岩があったのでそこにつかまり待避。一切経山山頂の風よりもはるかに強い。今まで経験した中で最強だ。下を見ると登ってくる人がいる。すごいな。いつの間にか上に行っている。それならとまた足を踏み出したが、10mくらい進んでまた動けなくなった。すぐにさっきの岩に戻る。先行者もしゃがんで小さな岩に手をかけている。まさに暴風。眼鏡が飛ばされないか心配になってくる。頃合いを見て戻るしかない。何かぶつかるのは雨か砂か分からないが、頭を下げて風に耐えていた。ふと下を見るとさっきの人が下り始めている。こちらも下りるとするか。相変わらずの風だ。下りる分には多少楽のようだ。下がるにつれ風も弱く感じられてきた。火口を見るが今行ってもなあ。あるかどうかわからないがまたの機会に。階段を上ってきた人たちが記念撮影していた。この辺りは風は多少弱いようだ。階段を降りてさっきの人を追い抜く時に風の凄まじさを思い出して、お互い苦笑いするしかなかった。
天候はきちんとチェックして登る山を考えた方がいいとつくづく思った。車の運転は往復で4時間を優に超えていた。山歩きは3時間半だった。せめて6時間くらいは歩きたかったなあ。もうちょっと別のルートもあったようだが、こちらも事前の検討不足。行き当たりばったりの山歩きは良くない。というか生き方自体が行き当たりばったりに近いので仕方ないか。
浄土平(55分)姥ヶ原(10分)引き返し地点(30分)酸ガ平小屋(25分)一切経山山頂(20分)小屋(35分)浄土平(15分)撤退地(10分)浄土平
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