枯木山(平成26年4月12日)
枯木山はあこがれの山であった。ネットでその道のエキスパートの方々が登られているのを拝見して、いつか自分も行ってみたいと思っていた。もちろん残雪期にではあるが。ルート上には掴まるもののない急登や乗り越えるのが困難な雪庇などがあるとの情報から、臆病な自分にはちょっと無理かもしれないと先延ばしにしていた。昨年みー猫さんが残雪期に登られた記事をみて、ちょっと厳しいなと感じた。つい先日shaminekoさんが一度途中敗退し、その数日後登頂を果たした記事を読んで、自分も何回か挑戦して登れればいいんだと思い、今回歩いてみた。先人たちの情報のお蔭で運よく登頂できた。頼りになるNさんという同行者の存在も大だった。そして天候、残雪状態などすべてにおいて追い風が吹いていたようだ。
枯木山(1755.7M)
烏が森の住人さんの報告を参考に木の沢左岸尾根から取り付こうと思っていたが、車はいつの間にか安らぎの森の駐車場まで来てしまった。戻るのも面倒なので、白滝沢右岸尾根を歩くことにした。駐車場には渓流釣りと思われる人たちがいた。
白滝沢沿いの林道を西に進んで数分でサングラスを忘れたことに気づき車に戻って仕切り直し。Nさんすみません。林道を歩いていくといつの間にか残雪で覆われてきた。Nさん持参の先人の情報から取り付く場所を探していくと、小さな橋もどきがあり、これをもちづけ橋と思って左の斜面に取りついた。アイゼンを装着。かなりの急斜面ですぐに残雪はなくなり、そのうちシャクナゲなども出てきた。イワウチワの蕾もいくつか見かけた。
しばらくの登りふとGPSを見てみると、1077Pへ向かっているではないか。登る尾根を間違えたようだ。Nさんは軽快に登っていくが、こちらは牛歩のごとく進む。1077Pに着くと正面に明神ヶ岳が見えた。この後も形を変えて見えることになるが、まさしく栗山の盟主である。ここから西進する。一部雪のない所もあるが1120mあたりから残雪は続くようになる。登ってくる予定だった尾根と合流し南に行くと1220P。日光連山も枝越しに見えた。
さらに西に向かい有名な?ワイヤーの架かる木を見て進んで行くと、左の方で何物かが移動する音が聞こえた。ちょっと移動して見るとクマではなく、鹿だった。こちらをじっと見ている。鹿は逃げることが殆どなのでカモシカかとも思ったが違ったようだ。お尻が白かった。
1260m鞍部は痩せ雪庇との情報があったが、雪は中途半端についている状態で危険度はゼロに近い。その先の登りがグズグズ。さっきの鹿のものか分からないが、だいぶ滑った跡があった。
1467.1m三角点はもちろん雪の下。その先で日光の山々が良く見える場所があった。
アサズマ沢左岸尾根との合流部で進路は北になる。もう結構疲れた。3時間半が経過した。
(合流部から見る明神ヶ岳)
東の方は好展望で近くに険しそうな山が見える。その時は半信半疑だったが荒海山だったようだ。遠くには男鹿山塊、那須連山が見えた。
平坦な場所では一部雪の消えた部分もあった。さあ1692Pへの登りだ。下の方ではまだ傾斜はきつくない。樹木も笹もあり。Nさんのトレースを一部拝借しながら登る。
登るにつれて木もまばらになってくる。 気分転換に周囲の景色を見たり、登ってきた下の方を見たりしながら登る。ピーク直下も大分急だ。どうにかこなしてNさんの待つピークに到達。360度の好展望だ。
(ピーク直下)
(遠くに高原山、手前は高瀬山や持丸山か)
(これから向かう左端が枯木山南端の尾根、中央が山頂か?)
景色を堪能するが、この先が気がかりだ。枯木山の南の肩への登りがどうなるかだ。さあ歩き出そう。ここでもNさんが先行する。一旦下って登り返す。完全な裸尾根ではなく、右に笹が露出している。その右側は絶壁になっているのだろうが、笹の方に寄りながら登っていく。何とか登れそうだ。最上部は笹が大分出ていた。雪庇も左側から難なく登れた。時期が良かったのだ。
(尾根の最上部から下を見る図、だいぶ笹が顔を出している)
案ずるより産むが易しといった感じ。枯木山までは東に張り出した雪庇に注意して進む。樹林帯に入って歩いたほうがいい場所もある。周囲の景色を見ながら歩く。
(改めて荒海山、この時期に登る猛者もいる)
(分かりにくいが田代山)
最後に少し登って待望の枯木山山頂。山名板は文字の読めない朽ちそうなものと新しいように見えるものがあった。
ここで昼食。景色を見ながら。
(会津駒から三岩岳)
(大嵐山)
腹ごしらえを済ませたので戻ろう。下りが心配だな。まずは枯木山南端の下り。思ったほど急に感じず、このために持ってきたピッケルを突き刺しながら下ると難なく下りられた。1692Pへの登りがちょっとつらい。1692Pからの下りは距離が長いので要注意。アイゼンに雪団子がつかないように頻繁に叩いてはらいながら進む。 傾斜が緩くなってもう安心だ。どうやら難所は通過できたようだ。
1077Pまでは往路をそのまま戻った。時々膝上まで踏み抜くことはあったがそれほど頻回ではなかった。1077Pに登ってきた尾根が急だったのでここを下るのは嫌だなあとNさんと相談し948P方面に進んだ。残雪は殆どなくなっている所が多かった。948P手前の鞍部で北に踏み跡のようなものがあったので、ここを進んでみた。
そのうち道は不明瞭になり、急な下りになってしまった。どうにか進んで残雪のある谷に下りた。残雪の下に水が流れていて恐る恐るの歩きになったが、ちょっと滑っただけで林道に下りられた。
ここでやっと枯木山に登れたのだなあと実感した。10分ちょっと歩いて車に戻った。車は1台増えていたが、やはり釣りの人だったのだろうか。
Nさんのお蔭で念願の枯木山に登ることができた。一人では到底無理だった。去年の鬼面山もそうだったなあ。Nさん、有難うございました。またお願いしますね。
また先人方の情報にも感謝感謝です。
駐車地(35分)取りつき地(45分)1077P(40分)1220P(1時間10分)1467.1三角点(20分)アサズマ沢左岸尾根合流部(50分)1692P(20分)枯木山南端(20分)枯木山山頂(30分)1692P(45分)1467.1三角点(1時間20分)1077P(40分)駐車地
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コメント
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野球親爺さん こんにちは
連ちゃんで長距離残雪の山、お疲れ様でした。会津岳人のあこがれという枯木山、しぼれの残り時間は少なそうですが、いつかは行ってみたい山です。大佐飛の懐かしい景色、一度見てみたい違った角度からの荒海山、大嵐山、堪能させていただきました。
投稿: しぼれ | 2014年4月13日 (日) 11時14分
しぼれさん&Pさん こんにちは。有難うございます。
湯西川からは会津から行くよりは難易度は低そうです。
歩く時期がポイントになるのではないかと思います。
いつも見ている場所とは違った所から見ると全然違った山に見えますね。
ズームでうまく撮れませんでした。
投稿: 野球親爺 | 2014年4月13日 (日) 15時06分
おはようございます。
行かれましたねぇ!記事を読んでいて自分が行った時の状況を、思い出しました。最後の雪庇通過まで行けるかどうか確信が持てないままに歩いていた状況でした。そのようなお山だと達成感もひとしおです。そして頂上からの景観!何事にも変えがたかったのではないでしょうか。お疲れ様でした。
投稿: みー猫 | 2014年4月14日 (月) 07時27分
みー猫さん こんばんは。
昨年のみー猫さんの歩きに後押しされました。
単独では厳しかったです。
南の肩の雪庇の張り出しがなかったのも幸いしました。
本当に達成感がありました。
ありがとうございました。
無雪期には行きませんよ。
投稿: 野球親爺 | 2014年4月14日 (月) 19時33分
野球親爺さん こんにちは。残雪期の枯木山は展望が素晴らしかった覚えがあります。それと県境尾根の手前の雪塀の乗り越し,そしてそれのトラバース気味の降りと。達成感が大きいですよね。お疲れ様でした。無雪期とは全然印象の違う山です。
投稿: ノラ | 2014年4月17日 (木) 17時00分
ノラさん こんばんは。いつも有難うございます。
ノラさんが山部さんと登られた記事も参考にさせていただきました。
時期的に今回の方が大分楽に登ることができたように思います。
雪の壁も殆ど問題なく、雪も一部途切れていて却って登りやすかったようです。
展望も良く、本当に達成感が大きく、充実の歩きでした。
無雪期はすごい藪のようですね。怖いもの見たさで足を踏み入れたくなりそうですが、自分の実力を考えるとやめた方がよさそうです。
投稿: 野球親爺 | 2014年4月17日 (木) 21時39分
野球親爺さん、おはようございます。お久しぶりです。
枯木山、登られたのですね! 私も今年初めて行きましたが、想像していた以上に素晴らしく感動しました。
湯西川までの道路が快適になった事もあり、今後残雪期の定番になりそうです。
もうヤブが随分出て来たようですね。無雪期の枯木山は軟弱者の私には絶対無理です。
投稿: Shamineko | 2014年4月19日 (土) 06時28分
shaminekoさん こんにちは。こちらこそご無沙汰しております。
shaminekoさんの記事を参考させていただきました。
と言うか、いつも後追いさせていただいて、なんか申し訳なく思っております。
枯木山は本当に良かったです。藪が少し出ていたのが却ってよかった気がします。
私も無雪期には多分行かないと思います。想像するだけですよ。忍耐力がないものですから。
投稿: 野球親爺 | 2014年4月19日 (土) 17時40分