上海岳を知ったのはもうだいぶ前。倉持裕至さんの「地図に無い山」に載ってました。当時は藪漕ぎだったようですが、その後何故か刈り払いがなされたようで歩きやすくなったとのこと。でもそれはだいぶ前の話で、Yoshiさんや烏ヶ森の住人さんが歩かれてから日にちが経っています。県境尾根を栃木県側から登ろうなどと思っていたためになかなか実行にうつせないままいたずらに時間が過ぎて、もう2週間もすれば還暦という事態になってしまいました。こだわりを捨てて、より短時間で歩けそうな福島県側の栗生沢から大川林道に入り歩くことにしました。
8年前の4月29日に栗生沢から大川林道を歩き大川峠から男鹿岳に登った時の帰りに道路の管理をしている人たちにたまたまお会いし翌日に通行止めが解除されると聞いたのを覚えていて、毎年4月30日になればゲートの所まで開通するものだと思って今回4月30日に歩きました。でも今回は通行止めは解除されておらず、自己責任としてゲートまで車で入ってしまいました。
前置きが長くなりますが、上海岳に間違って登ってしまった二人の人の話。一人は2004年に尾出山でお会いした同年代かやや上の単独女性。尾出山から高原山までご一緒した際に聞いたのですが、男鹿岳と思って登って辿り着いた所が上海岳(しゃんはいだけ)だったそうです。「しゃんはいだけ」という名前じゃないと思いますよとは言いませんでしたが、どうして北と南を間違えて男鹿岳に登り損ねたのか不思議でした。さてもう一人。こちらは鬼面山や枯木山など私一人ではちょっと無理っぽい所をご一緒していただいたNさん。この方も女性と同じように上海岳に登ってしまったそうです。Nさんの凄い所は大川峠に戻って、きちんと男鹿岳に登って来たところです。私には考えられない体力と気力。でもどうして間違えたのか不思議でした。そして2009年に私が男鹿岳に登った時にお二人がなんで間違えたのか大川峠に来た時にはやはり分かりませんでしたが、今回大川峠を再度訪れた時に分かりました。福島側から歩いてくると大川峠に着いて正面に見える尾根は上海岳に向かう尾根なのですね。やはり素直な人はそのまま直進してしまうんでしょうね。やっと謎が解けたっていうほどのことではないですが、お二人とも藪漕ぎして期せずして上海岳に行ってしまわれたのはやはり凄いことではあります。
ああ、いつか書こうと思っていたことが書けてよかったあ。それではごきげんよう、ではありませんね。これから本題です。
上海岳(1501.4M)
釜沢橋のすぐ先のゲート前(ゲートは倒れてましたけど)には車が6,7台。この時期混雑するようですね。車を置く所がないので少し戻って路肩の広い所に停めました。ゲートまで5分歩きました。そういえばここに来る前、栗生沢に来る道をやり過ごしてしまい、養鱒公園へ曲がる所まで行ってしまいました。形のいい山があるなあと思っていたのですが、旭岳のようでした。30分くらいロスしたようです。間抜けもいい所ですなあ。
しばらく歩くと前方から身軽そうなお二人がやってきます。犬が勝手に鹿を追って空身で走って行ってしまったそうです。男鹿岳に登る予定だったようですが、犬の安否が気遣われ待機しているようです。確かハヤトだったか、名前を言われましたがどうすることもこちらはできませんでしたその場では。ただこちらが丁度大川峠に着いた時にその犬と思われる犬が単独の男性と男鹿岳側から降りてきて、こちらが名前を呼ぶとちょっとだけ反応しました。一緒に下りてきた男性の話では途中までほかの登山者と一緒に登っていたらしいのですが、男性が下りてくるのと出合ったら男性に付いてきて下りてきたようです。男性は峠にテント泊したそうです。多分その男性は犬と一緒に戻ったのでしょうね。帰りに犬に会いませんでしたから。話が横道にそれすぎですねえ。
大川林道はそれなりに荒れていました。結構レポートがあるので省略。完全に寸断されている所はありません。ちょっと雪崩様の場所はありました。
男鹿沢橋を過ぎると会駒と七ヶ岳が見えてきます。今日は霞んでなくて良かった。
しばらく進むと残雪が連続し、一部少しだけ危険そうな斜面化が見られますが、歩いてみるとそれほどではありません。大川峠には小さなテントがありました。件の男性のものですね。ここで丁度男鹿岳に登ろうとされている別の方とお話しました。栃木百名山狙いのようです。黒岩山、錫ヶ岳、大佐飛山などが残っているそうです。お気をつけてとお互いを気遣いお別れします。こちらはあの犬とご対面。少し犬はウロウロします。こちらが男鹿岳と反対の尾根に取りつこうとすると近づいてきます。ダメだよこっちに来ちゃあと手で合図しますが分からないですよね。テントの男性が犬を呼びますがなかなか動きません。仕方なくこちらは上海岳を目指して尾根に取りつきました。
犬のほうを伺いながら、数歩歩いては後ろを見て追って来ないかを確認します。何回か繰り返して進んでいってもこちらには付いてこないようでした。ああよかった。しらばっくれて先に進みました。笹が高い部分がありますが、下には踏み跡が概ねありました。少し登ると燧ケ岳。しばらく登ってないですね。
激藪区間はありません。東側に雪庇のできているところもあります。登るにつれ男鹿岳や那須のお山が見えてきます。1422Pに手前で残雪が目立ちます。
1422Pは平らな所で正面に上海岳が見えました。
尾根の右手には雪庇。左には踏み跡らしきものが見えます。
残雪の所や藪の中か歩きやすい所を選んで進みます。右手見えるピークは赤柴山でしょうか。ここも永遠の課題です。
反対側を見ると枯木山や燧ケ岳が見えたようですが、ピンボケになっちゃいました。
那須の山もいつも見るのと違って見えるので新鮮と言えば新鮮。
1428Pの先はやや痩せ尾根気味。雪庇は注意して進みます。
振り返ると男鹿山塊の山々が見えてました。
だいぶ上海岳も近づいてきましたか。
上海岳の南西の肩への登りは西側の残雪部を歩いたほうがよさそう。南西の小ピークに着くとあと一息。
七ヶ岳が近くなった印象。
ふと足元を見ると左右ともに紐がほどけてました。藪漕ぎのせいか、結び方が悪かったのか。取りあえず結びなおさないと。もう少しで山頂でしょうか。
鹿の足跡でしょうかね。
そういえば山頂の雪のない所にはお土産がいっぱいありました。
シャクナゲもそろそろかな。
雪の残り方が微妙で歩きづらい所もありました。眺めがいいので周囲を見ながら休み休みの歩きになりました。やっと山頂と思われる所に到着。山名板もなく三角点も雪の下のようです。
(上海岳山頂から赤柴山、那須連山方面)
いい眺めです。
鹿のお土産に触らないように休憩。寒くもなく暑くもなくいいコンディションでした。長居したい気分ですがそうもいかないでしょう。戻る途中で登って来たところと男鹿山塊の山々が一望できました。
何となく男体山と日光白根山のような山容が霞んで見えました。
大川峠までは思った通り早く下りられました。大川林道の帰りが思ったよりも時間がかかってしまいました。まだ車は5台ほど残ってました。林道歩きが長いのがいかんともしがたいですが、峠と上海岳の往復は非常に満足いく歩きになりました。
ちなみに上海岳の読み方は「ウワミダケ」や「ウツミダケ」というようです。「シャンハイダケ」でないことだけは確かです。
駐車地(2時間半)大川峠(2時間5分)上海岳(1時間15分)大川峠(2時間)駐車地
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